「東京大学史料編纂所の国宝・重文名品展」と「古典籍展観大入札会」

今日は、東京大学資料編纂所と御茶ノ水の東京古書会館で開かれている、東京古典会「古典籍展観大入札会」に行って参りました。

史料編纂所では、今日明日と「東京大学史料編纂所の国宝・重文名品展」という展示が行われています。
これは、編纂所で発行が予定されている『東京大学史料編纂所影印叢書』を記念して、編纂所所蔵『島津家文書』や『小笠原文書』『台記』などの原本・古写本を展示する、という企画です。

興味の赴くままに展示史料をリストアップしますと…

『島津家文書』
・元弘3年4月29日付「足利高氏書状」(歴代亀鑑のうち)
・元弘3年6月10日付「足利高氏書状」(歴代亀鑑のうち)
(貞和5年)9月28日付「高師直書状」(歴代亀鑑のうち
・観応2年7月26日付「足利直冬御教書」(歴代宝鑑のうち)
・正平6年8月3日付「後村上天皇綸旨」(歴代宝鑑のうち)
・正平6年11月13日付「足利尊氏御判御教書」(歴代宝鑑のうち)
・観応3年卯月13日付「足利義詮御教書」(歴代宝鑑のうち)
・応永9年8月16日付「足利義満御判御教書」(歴代宝鑑のうち)
・「江戸大地震之図」(江戸時代)

文治5年2月13日付「源頼朝下文」
元暦元年10月30日付「源範頼下文」
正長元年9月27日付「飛鳥井雅縁譲状」
応永26年『耕雲紀行』

『小笠原文書』
・(貞和3年)5月17日付「足利尊氏自筆書状」
・(貞和3年)5月17日付「足利直義自筆書状」
・観応2年正月26日付「小笠原政長自筆書状」
・(嘉吉元年)5月26日付「足利義教御内書」
・元亀4年7月6日付「武田勝頼判物」

南無阿弥陀仏作善集」(鎌倉時代
台記』(鎌倉時代
「右衛門督補任」(鎌倉時代
検非違使補任」(鎌倉時代
「後嵯峨院北面歴名」(鎌倉時代
「大将歴名」(鎌倉時代

『升堂記』(林家関係資料、江戸時代)
寛政5年12月16日付「口宣案」(林衡叙任関係書類、林家関係資料)

『康道公記』(江戸時代、二条家記録)
『御湯殿上日記』(高松宮家本)

などがあります。

普段は中々お眼にかかれない『島津家文書』をはじめ、主に南北朝期の文書が数多く展示されています。
足利尊氏の文書だけで5通も出てます(笑)。
『小笠原文書』の尊氏・直義書状は、以前東博で開かれた東京大学史料編纂所史料集発刊100周年記念「時を超えて語るもの―史料と美術の名宝―」展以来です。
『島津家文書』は、「時を超えて語るもの」展では、鎌倉時代の文書が展示されていましたので、南北朝期の文書は初めて見ました。
また、注目したいのは「検非違使補任」で、これは以前に一度見ているのですが、『続群書類従』に収録されている同書の原本になります。
続群書類従』のものは編纂所所蔵原本(と言っても古写本ですが)から収録したのではなく、誤記が多く見られる江戸時代の写本からのもののようです。

特に私が眼を見張ったのは、正長元年9月27日付「飛鳥井雅縁譲状」で、これは詳細はあえて書きませんが(笑)、丁度私が探していたような内容だったので驚きました。
まだこんなものが出てくるとは。恐るべき史料編纂所(笑)。

今回の展示の図録もあるのですが、カラー写真が豊富かつ解説も詳細で素晴らしい。
しかも「無料」。
これは見逃せないですよ。

「古典籍展観大入札会」は、その名の通り入札会で、決して古文書・古典籍の「展覧会」ではないのですが(いや、そういう性格もあるのですが)、文書や古典籍を真近で見れるばかりか、実際に「手にとることが出来る」機会なのです。
昨年はなんと「安達泰盛乱自害者注文」(凝念自筆『梵網戒本疏日珠鈔』巻第八紙裏文書)が、数十年ぶりに出てきたということで驚いたのですが、今年はそれに匹敵するようなサプライズはありませんでした。
しかし、それでも醍醐寺地蔵院や東寺宝菩提院に関する聖教が出てきて驚きました。
特に地蔵院親快(親玄師)の伝法灌頂に関する史料は垂涎物です。しかし巻子本なので、読むのに苦労するし緊張します…。

お腹一杯の一日でした(笑)。